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筋電メディカル徒然日記

2021年04月23日

徒然日記 15
死ぬよりずっと怖いこと

私は、後期高齢者ですが、死ぬことは怖くありません。嫌でもない!若い頃は、未知の世界を怖がりましたが「この世は、こんなもんだ!」とわかると、生きようが、死のうが、どっちでもいいんです。
昔ならば、これを「神の思召し次第」と言ったのでしょう! 別に自棄になっているわけでもなく、達観しているわけでも、まさか「悟りを開いた」わけでもありません。もし、このまま生きて90代にでもなれば「早くお迎えが!」なんて考えるかもしれませんがね。昔の爺様、婆様は、70代にでもなれば、皆一様に、挨拶代わりのように「お迎えが来ないんだよ!」みたいなことを言っていましたっけ!
 
でもね、この歳になると異常に1週間が速いんです。木曜日のテレビ番組プレパトの俳句の時間が好きで、観入っていますが「おや、もう1週間経つのか!」と思うぐらい速い!
特に、土曜日、日曜日は、息子夫婦が家人の手料理を食べに夕方に来ます。そして、テレビのチャンネル権を奪います。画面には、長寿番組で色とりどりの着物を着た落語家たちが大喜利をやっています。また製薬会社の提供する音楽番組もやっています。そんな番組を観ると、一昨日観たはずと思うくらいに1週間が短いのです。若い時の1日は24時間でしたが、年寄の1日は何時間になるんですかねぇ!
 
死ぬのは怖くない私ですが、怖いと思うことがひとつあります。認知症になることです。認知症になることは、自分ではわからないので、自分のために「怖い!」わけではなく、家族に迷惑をかけるのが怖い!
認知症について、私は詳しくわかっていません。ただ、父が血を大量に吐いて救急車で運ばれた後、病院の廊下で婦長さんと出会いました。婦長さんは「ちょっと待ってて」と部屋に入り、大きな封筒を持って戻ってきたのです。その中には、父の頭の断面写真が入っていました。「ほら、この大きな白いところ、これね、アルツハイマーの証なのよ」見てもわかりませんでしたが、確かに白い大きな部分がありました。症状が、いつ出るか!いつ出るか!と、思って気にはしていましたが、がんで亡くなる時まで出ませんでした。きっと、ちょっと外れていたのでしょう!
 
病院のレントゲンでアルツハイマーと言われてから、私は「認知症は人間の持つ恐怖や嫌なことや辛かったことを忘れるためのサーモスタット」と考えています。長生きは、よいことです。でも、楽しかったことはすぐに忘れ、悲しかったことや辛かったことは、ずっと忘れません!ですから、死ぬ前くらいには、忘れさせてやろうとサーモスタットを付けてくれたのでしょうね! でも、家族が困るのも困る!
 
週に2度、月曜日と木曜日を“ドラムの日”と決めています。今、もう9月の初めまでスタジオに予約を入れています。自己練習ですから、20名のビッグバンドが練習できる大きなスタジオで、ひとりでドラムを敲いています。一昨年の12月に先生に1年半の休みをもらって、それまで教えていただいた技術を音に乗せられる速さで敲く練習をしてきました。先日、先生に連絡を取り、木曜日に教えていただける時間はないかとお願いしました。返事の電話待ちです。67歳でゼロから先生に付いてもらい、もう8年経ちます。認知症予防です!

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹