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筋電メディカル徒然日記

2021年12月24日

徒然日記 50
新開発EMSへの期待

私の周りには、私に近い年齢の人がどうも集まってくる。今まで坊や扱いしていた人たちも年齢を訊けば60代である。よく言われることだが、年寄りが3人集まれば病気の話。また、筋肉の衰えは、外からも見えてわかるからついつい足を引きずっていたり、腰が曲がったり、歩くのが遅かったり、杖をつくようになったりで、“京大の筋肉”と異名を取る森谷敏夫京大名誉教授と知り合って、教授の話を聴いていると「治せるのになぁ!」と気になってしまうのです。
 
教授の書かれた本の中には「最新の研究では、歩くスピードが遅くなると確実に早く死ぬとわかってきています」とか「男性の場合、75歳(現在の私の年齢)の時点で歩くスピードが非常に遅かった方のうち、10年後の85歳まで生きていた人はたかだか19%、逆に75歳の時点でも健脚でしっかり歩けた人は10年後の85歳まで生きていた方が87%」と書かれています。
女性も同じで「足元があまり強くない、あんまり速く歩けない人は35%しか生き残れない。元気な女性・歩ける女性は85歳まで、91%の方が生きていた」とも書かれているのです。このデータにはエビデンスがあります。
「男性は、例えば、65歳で秒速0.2mでしか歩けなくなると、あと8年ぐらいしか、生きられない。女性のほうが長寿で、同じ65歳で秒速0.2mでも、あと13年は生きられる」とあります。「最速は秒速1.6mで歩ける65歳の女性で、あと42~3年も生きられる」ということは、歩くことは長生きに直結しているのでしょう!
 
認知症も歩くスピードと関係があると、教授は書かれています。
「歩くっていうのは、姿勢の調整だけじゃなくて関節も筋肉もすべてに負荷がかかります。心臓も使います。循環器系も使います」速く歩けることは、肺にも影響があると教授の話は続きます。「認知症は運動不足が原因」とも「中年以降に肥満すると、内臓脂肪から高血圧を引き起こしたり、糖尿病を誘発したりするような生理活性物質がいっぱい出て、そればかりでなくその物質は、血栓を形成させるような物質なのです」「運動不足は糖尿病を引き起こす。内臓脂肪が溜るような食生活は認知症、がん、脳梗塞、心筋梗塞というような重篤な病気を引き起こす引き金になる」と説きます。
 
そこで森谷教授が考えだしたのが、「筋電メディカルEMS」なのです。だって、そうでしょう、高齢者に健脚を作るようなキツイ運動は無理だからです。寝たきりの人や車椅子、バスのひと駅を歩くのがやっとの高齢者にジムで筋トレしろ!とか、1日に1万歩なんていっても、どだい無理な話です。高齢者になった方にイチ押しなのがEMSの考えです。座ったままでも寝たままでもできる最適な「他動的運動」だからです。皮膚表面に柔らかい帯状の薄い電極を、足に巻くだけ!あとは好みの筋収縮が得られるレベルに電気刺激の強度を上げていくだけで、勝手に筋肉は動き始めるのです。実用化はされていますが、科学の進歩で、今までのものでは教授は満足できなくなりました。新な「筋電メディカルEMS」の誕生です。
 
今、でき上がったニューバージョンを多くの人たちの力を借りてテストをしています。次回からは、森谷教授の作ったその新システムを使った人たちの声をここに展開します。高齢者のキーワードは健脚、です!

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹