TSUREZURE

筋電メディカル徒然日記

2022年06月03日

徒然日記 71
歌手は健康の基

変なタイトルを付けてしまった!
 
新橋終点のバスで運転手さんにマイクで「お客さ~ん 新橋終点ですよ~!」と、マイクで叩き起こされた。ちょっと肩でも叩いてくれれば、目が覚めるのに誰もいない社内でマイクを最大にして起こさなくても良いのに、なんて運転手さんの気持ちを無視して半分寝たきりの状態で、乗り換える渋谷駅行きのバス停に向かった。馴れた路である。真夜中に梯子酒をしても家に戻れる御仁たちと同じで、半寝状態でもバス停にたどり着いた。乗客はたったひとり、バスは出発した。溜池のサントリーホールまで5駅、誰も乗り降りしない。私しか乗っていないから、私を落とすとバスは、乗客の居ないまま渋谷に向かった。ちゃんと寝ている。しかし、いつも私は眠い!テレビで観たいニュースがあっても、ちょうどその前にウトウトとしてしまうくらいだ。
 
上は高速道路が走る。横断歩道まではかなり歩く。そのために地下道が作られている。頭は寝ている!躰は、ちゃんと前に進む!10時、いつもと同じ時間だった。エスカレーターで地下道に降り、階段で地上に出るといつもの喫茶店が目の前にある。前の店主が植えたビワの木が大きく育っている。
「いらっしゃい!」「おはよう!」いつもの朝だ。カードにスタンプをもらう!注文の品は、訊かない!言わない!いつもの席には、私より若い女性がモーニングを食べていた。2番目の私の席は空いている。3番目の席は無い!空いていなきゃ、私は帰るからだ。顔見知りの客は、あなたのために抑えておいたよ!と、席を譲ろうとするが、それは断る。只、居場所が無いから毎日1、2度しか来ないのに特別扱いをすれば傲慢に見えるから!女性は、黙々と食べていたが、私のデブのせいで、真ん中のテーブルを引いてくれた。この店で、3~4回あった女性、後でマスターに訊いたら先々週会ったらしい。挨拶もしていたと言う。そういえば、マスターを含む常連たちが夜、メシを喰った後、彼女のジャズバーに行った。今度あんたも連れて行ってあげるから、そう僻むなと先々週言っていたのを思い出した。
 
彼女の店は、赤坂の昔大きなライブハウスがあった隣のビルの地下にあるらしい。ご主人が高名なホテルの腕利きのバーテンダー、今は奥さんの店のバーでお客に美味い酒を吞ませているらしい。彼女は、Jazz歌手であると聴く。下手なピアノも弾いて、歌も歌っていると先々週彼女から聴いた!下手なピアノとは、きっと謙遜語だろう。小柄で可愛いが楽器のような躰だ。躰の中が響くのだ!普通であれば、もう喉の筋肉も落ち、声が枯れて歌えなくなっても可笑しくない歳。でも、あちこちから呼ばれて他の店でも歌っているそうだ。コロナ禍、店でランチも出したから、朝から夜中までフル回転しているママは、眠そうな私の顔を見て「元気出せ!」と言わんばかりである。ママの歌を私はまだ聞いていないが、皆が上手いという。歌が健康の源なのだろう!

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹