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筋電メディカル徒然日記

2022年11月18日

徒然日記 95
旨い喫茶店と上手い歯医者

その喫茶店のことは、今まで何度も書いてきた。10年以上前から通っている喫茶店で、元の赤坂全日空ホテルで今は赤坂インターコンチネンタルホテルや、そしてサントリーホールの向かいにある。小さな喫茶店だから見落とすかも知れない。以前は、このビルのオーナー兄弟の次男が経営し、次に奥様が2人の仲間と頑張って開いてきた。その頃から私は通い始めた。まず、煙草が吸える、落ち着いている。客層がいい!私が通うオフィスから歩いて1分かかるかかからないか、地の利がいい!
 
何年か前だった、コロナ騒ぎより前だった。店のママにお孫さんが出来た、そして何かで腕を骨折した。店をどうしようかと考えた挙句、今のマスターが続けることになった!元ママからの白羽の矢が立ったのだ。それも当然でマスターは、もともと珈琲の卸の凄腕の営業マンだった。今でも、新たに喫茶店を経営したい人たち、また喫茶店をしているがもっと珈琲の作りの腕を磨きたい人たちのための教室で、土日を使っての講師をしているくらいだ。12月か1月に「飯尾和樹のずん喫茶」(BSテレビ東京)で放映される取材も来たと聞いた。珈琲の知識は、もしかしたら日本で1番かも知れないし、値段に増した珈琲を出してくれる。それも、ママがやっていた時とほとんど変えない。煙草も珈琲を飲みながら吸える!その頑固魂がいい!
 
店というより、サロンと言ったほうがいいかも知れない。お客と共につくる店なのだ、客同士も仲間になり、その輪が大きくなり、常連化している。店で喫煙所を設けている喫茶店は多いが、以前のようにのんびりと煙草と珈琲でひと時を楽しむ店が少なくなった。お酒と煙草、珈琲と煙草は、言わばカップルの様で昭和の文化を築いた小説家、作家たちの写真を見ると三種の神器のようなモノだった。今は、厳しくなった。昭和のあの懐かしい店は姿を消していく!それは、お国が「やるなら経営者ひとりでやれ!さもなくば、家族が手伝うくらいなら許す!」とのお達しを出したからだろう!だから皆店を閉じ、チェーン化する。
 
マスターは、そんなお達しには、屈しなかった!たったひとりで、サイコーの珈琲を出し、私などは、たぶん一番だと思う美味しいカレーまで出す!このカレーがリピーターをつくる程旨い!マスターが大変なのを知って常連たちは、自分のテーブルを拭いて帰る。お客は、ネクタイを外した会長だの社長だのも多い。嬉しそうに、雑巾でテーブルを拭いている。お客も互いに店をつくる一員なのだ。これが、またいい!本人たちも会社に戻れば、やらさてもらえない雑巾がけを楽しんでいるのだ!
 
この店の二階は、長男が経営していた歯科医院である。今は、息子さんに院長を譲って週に何回かしか出ないが、有名な役者のご一家も通っていた。息子さんの院長も凄い、入れ歯などは自分で造る。自分で造ったモノだから、その場で調整してくれる。私も七十半ばまで生きてきたのだから、多くの歯医者さんを知っている。その中には学友もいるが、今まで、この歯科ほど上手な歯医者さんに出会ったことが無い!その2軒が、オフィスから歩いて1分の所にあるのだから、私はとても幸せ者だと思う!

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹