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筋電メディカル徒然日記

2023年01月13日

徒然日記 103
立つことの難度

暮れからお正月にかけて、寒いこと、寒いこと!
私は、35年前に西武新宿線の新宿駅ビルで衝動買いをしてしまったアルマーニのコートを頭からかぶって震えていました!そのコートを私は、搔巻(かいまき)とか褞袍(どてら)と呼んでいるんです。今で言えば、お尻まで隠れるダウンジャケット!アルマーニですから、サラリーマンの私には、ちょっとお高い品物でした。何万円かしたのです。なぜ、あのころ買えたのか疑問ですが、ともかく掻巻だから温かい!それに、高かったから捨てられない!何十万したって35年ももてばパーコストは、安いでしょ?
何十万じゃありませんよ!何万でした!
 
ただ、困ったことがひとつあります!掻巻・褞袍ですから、道を歩いても、バスに乗っても、電車でも、ものすごく幅をとるのです。まるで歌舞伎役者になったようで、「助六」や「暫らく」の衣装を着ているようです!デザインも普通じゃないから、何年でも着れます!こんなダウンジャケットは流行に左右されません!ただ、雨が降ると昔の物だからか、もともと撥水加工製品じゃなかったのか、濡れそぼってしまいます!でも、新しい、それも登山用の有名ブランドのダウンジャケットより暖かいのです。この冬のような時には、手放せないのです。
 
この寒い中、昨年暮れにゴルフに行くんだという人がいました。
私も若い時は、真夏のクソ暑い中でも、雪が降り出した時でもゴルフに出かけたことはあります。もともとゴルフが大好きではなかったのですが、流行っていましたし、編集者として作家から誘われれば「はい~っ!」と言って行かねば、仕事になりませんから雨の日、風の日、酷い時は台風や雷の中でもやりました。
今は、ゴルフ道具一式ビニールをかぶせてベランダに放置してあります。覗くのが怖いくらい、見てもいません!
 
若いうちは、あまり気にしなくてもいいのでしょうが、70歳半ばを過ぎたら寒さは、十分に気を付けなければいけませんね、ばたんと倒れてあの世に直行!ということだってありますから!
 
私の住む集合住宅は、1500室も部屋があります。たぶん3千人から4千人は、住んでいるんじゃないかと思います!ロビーも広く、10年近く住んでいると、よく会う人とお喋りをすることもあります!ここが女性と違うところで、男性は、あまり喋らないから新しい友達が出来にくいのです。私は、何人か友達と言っていいかどうかわかりませんが、よく話す爺さんたちが出来ました。
 
その中に社会人野球で結構腕をならした人がいるのです。話を聴いた限り、集合住宅の目の前にあるジムに時々出向く、近くの図書館で本を借りて読みふける。なかなかの老後を楽しんでいました。
昨年暮れでしょうか、しばらく見なかったのですが、杖を突いて現れました。軽い脳溢血になって入院し、今はリハビリ中だということです。ただ、最近彼の歩く姿を横から見るとクランク形をしているのです。テレビで時々観る人型ロボットの歩行と同じような歩き方なのです、元はアスリートです。その姿を見ると何と声をかけたらいいか、わからなくなるのです。

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹