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筋電メディカル徒然日記

2022年03月11日

徒然日記 60
私見「文献言語解釈」
第1話 珈琲

赤坂のオフィスから1分、溜池山王から六本木交差点に向かうちょうど中ほどのインターコンチネンタルホテルやサントリーホールの真向いに私が入り浸る喫茶店がある。以前は、このビルのオーナーの奥様が経営していたのだが、お嬢さんが子宝に恵まれて急に“おばあちゃま”になった。おばあちゃまの仕事は“それはもう、大変!”らしい。ボク好みの店だから、やめられたら困る。「夫が生きていて、このお店を切り盛りしていた頃からの知り合いでね、珈琲のプロなのよ!その人が継いでくれるって!」ママと話せなくなるのは残念だが、珈琲にプロがいるなんて知らなかった。
 
“コーヒーの楽しさや魅力について、学びませんか?”珈琲の専門校のパンフに書かれている。ここの講師をつとめているのが、今のマスターだ!確かに、珈琲のプロである。カリキュラムを見ると「体験セミナー」、珈琲の基本から、美味しい珈琲の楽しみ方まで学べる「ベーシックコース」、知識や技術を深めることで、珈琲の楽しさがさらに広がる「プロフェッショナルコース」、専門技術を習得することで、珈琲の専門家を目指す「スペシャリストコース」、それに通常とは別に、所属講師が行うオリジナル特別セミナーなどがあるようだ!
私が入り浸っていると、時々生徒さんらしい人が訪ねてきて、マスターに教えを乞うている。答えが時々耳に入ってくるが、私が編集者の頃に新人の作家に伝えていたことと似ているので耳を欹(そばだ)てる。突き詰めると、お客さん商売の根本は同じなのだろう!
 
 珈琲といえば、森谷敏夫京大名誉教授の本『京大の筋肉シリーズ』にも珈琲の効用が結構出てくる。その中で今回は『京大の筋肉3』を抜粋したり、参考にしたりして下記にまとめてみました。
 
 
──老化を防ぎ、若々しく生きる。そのカギを握るのは“テロメア”という部位で“命のロウソク”と呼ばれています。人間の体は約37兆の細胞でできています。その細胞は、それぞれ細胞分裂を繰り返して生きています。細胞の中心に核があり、染色体という遺伝子があります。そこの両端に“テロメア”が存在しますが、細胞が分裂する時に、ロウソクのように少しずつ短くなり、テロメアが全部なくなると自己死します。つまり細胞分裂ができなくなると死んでしまうのです。しかし、近年の研究成果で、身体活動量がテロメアの長さに関わっていることがわかりました。活発に運動する人は、しない人よりテロメアが長いことが明らかになったのです。
話はコーヒーに戻りますが、約5000人を対象に飲んでいる量を調べました。すると、摂取量が多い人ほどテロメアが長い、つまり、細胞が若返っていることがわかりました。コーヒーを飲まない人を1として比べると、1日2~3杯だと1.29倍、3杯以上の愛飲家は、1.36倍もテロメアが長かったのです。
同じく、糖尿病になる確率もコーヒーを1日1~3杯飲む人が0.98、4~5杯飲む人だと0.7、1日6杯以上の人は、0.46と半減しました。また、コーヒーの認知機能低下への効果は、約2500人を対象とした研究では、認知機能の低下率がゆるやかになる傾向が見られ、飲む人と飲まない人では、7歳に相当する差が出ました。自律神経の交感神経と副交感神経、ともに活発になるという京大の研究データもあります。──
 
 
 私が、あの喫茶店に入り浸っているのは、サボっているわけではないのです。健康の維持のためだとご理解ください!

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹