TSUREZURE

筋電メディカル徒然日記

2023年02月03日

徒然日記 106
眼鏡で救われた!

昔からの知り合いから聞いた話です!
その人は、私より3、4歳年上ですから、今年80歳くらいだと思います。昔から知っている人に今更なかなか歳は訊けないものです。
 
その人は、5年前に軽い脳溢血で入院、簡単なリハビリで、今では、大病をしたとも思えないくらいに元気で酒を飲み続けています。お酒が大好きなのです。以前は、ウイスキーばかり飲んでいましたが、近ごろは日本酒党になったようです。
ここ十数年近しくなったのですが、先週みんなで食事に行くことになっていました。その前は、1月の初めに会っていたのですが、その時は、皆忙しくて、ゆっくり話も出来なかったのです。
 
「ほら、顔にいっぱい傷が出来ているだろ?」
お猪口になみなみと熱燗を入れて、口をひょっとこのようにして酒を飲みながら、その人は言います。
「覚えていないんだよな!確かに酔っていたとは言え、ボクは今まで足をとられたことなどないものね!それが、顔からどすんとね」
どうも酔っぱらって、道で転んだらしいのです。
「今まで、何十年と飲んできたけど顔から道にキスでもするように転んだことなんか一度もなかった」
「まさか、段差につまずいたんじゃないでしょうね」誰かかが、チャカしました。
「それなんだよ、段差なんて言えるようなもんじゃない!たかだか1センチもなかったと思うよ!その1センチに両足がつまずいてしまったんだよ」
「歳のせいですねぇ!」
「そう、歳のせいだね、これでも毎日30分以上歩くようにしてるけど、きっと足が上がっていなかったんだろうね」
「そんな大事なのに、あまり顔に傷がありませんね」彼のお猪口に酒を注ぎ足しながら、誰かが言った。
「そうなんだよ、不思議なくらいなんだ!後で考えてみたんだけど、倒れた瞬間に眼鏡を壊しちゃいけないと、思ったんだ!この眼鏡作ったばかりで、ちょっと値が張ったんだ!で、次の日に眼鏡店へ行ったら、どこも壊れていませんよ!ちょっと曲がったかな?と言って、1、2分で直してくれたんだ」
「眼鏡が恩人!」別の誰かが、大声で言った!
「そうだよ、高い眼鏡だったから壊してはならじと、顔を横にむけて腕で覆ったらしい!瞬間ね!家に帰ったら、ワイシャツにかなり血がついていたらしい!でも、ほとんど簡単に治っちゃった」
 
聞いていた私は、また脳溢血の前兆ではないかと心配だった!
 

高松市菊池寛記念館名誉館長
文藝春秋社友
菊池 夏樹